「The Wildfang Collection : Where Minerals Meet Art」FABIAN WILDFANG

「鉱物の美学」についてまとめた初のアートブック

地球が創り出した芸術である鉱物結晶。この多彩な鉱物標本の中から、審美的に選び抜かれたピースは「FINE MINERALS」と呼ばれ、アートの1ジャンルとなっている。本書は、現代のトップコレクターのひとりであるファビアン・ヴィルドファング氏が、自らのコレクションをもとに鉱物の芸術性についてナビゲートする、鉱物を芸術作品としてとらえた初のアートブックである。

美しさが第一の基準となるファインミネラルの世界でも、時に希少性や由来（過去に博物館や著名コレクターのコレクションであったか、など）が、その価値を上げることがあるが、彼はそうした副次的な要素を極力廃して、芸術性にのみこだわって石を選ぶことで、そのコレクションをさらに特別なものとしている。

本書は、そんな彼のコレクションを大きな写真で存分に楽しんでもらうグラビアページから始まる。誌面には鉱物名や産地データ、ノンブルに至るまで、写真以外の要素は一切ない。これは彼のプライベートギャラリーの展示ポリシーを反映させたものだ。彼のコレクションを飾るキャビネットには、標本以外に、ラベルなどの情報は一切置かれていない。まずは先入観なく、その造形を楽しんでほしい、という計らいだ。データが気になる標本は、スマホでコードを読み込むことで知ることができるシステムとなっている。本書もグラビアページには一切の文字情報はないが、巻末に標本写真のサムネイルとともにデータのリストをまとめるスタイルとなっている。

また、彼のファインミネラルに対する美学を「形状」、「比率」、「バランス」、「テクスチャ」など、様々な項目ごとに細かく解説。自らの今回、コーディネーションや翻訳を手がけてくれたUSK MINERALSの内田佑介氏による推薦文も掲載している。
　
　