JOURNAL

Drastic revision of subfam. Tillandsioideae/Atsushi Sato

2017.05.09

2016年10月にティランジア亜科に関する新な分類体系が発表された。DNA配列と形態の差異に基づき、従来の分類体系に大幅な変更が加えられている。主な変更点を下の表にまとめたので参考にしていただきたい。

たった1種または数種を構成種として新属を立てていることやティランジア(Tillandsia)属数種をラシナエア(Racinaea)属に移行させた理由の説明が不十分なことなどから、にわかには受け入れがたい内容と言えるかもしれない。とは言え、既に販売品に新名を用いている海外ナーサリーもあるため、徐々に認知されていくと思われる。

なお、新属名のうちシュードアルカンタレア(Pseudalcantarea)属、ワリシア(Wallisia)属、ルーセリア(Lutheria)属、スティグマトドン(Stigmatodon)属以外の属名は現存のブロメリア関係者への献名である。しかも4属は著者ら自身への献名であり、違和感を禁じ得ない。

その他の特記事項として、ティランジア愛好家にお馴染みのティランジア・ウンベラータ(Tillandsia umbellata)がワリシア・リンデニアーナ(Wallisia lindeniana)に、ティランジア・リンデニー(Tillandsia lindenii)がワリシア・デュヴァリー(Wallisia x duvalii)に変更されたことを挙げておきたい。なお、これはワリシア・サイアネア(W.cyanea)とワリシア・リンデニアーナ(W.lindeniana)の交雑種とされる。

文 : 佐藤 淳 / 協力 : デレク・ブッチャー(Derek Butcher)

参考文献
Barfuss, M.H.J. et al. (2016) Phytotaxa 279: 1-97.